宮本武蔵読みました

かっこいいぞ。宮本武蔵

吉川英次「宮本武蔵」を読んだ。kindle青空文庫読むのは安くていいのだ。

ネタバレがあるので、読んでなくて、これから読もうという人は読まないほうがいいと思います。

 

小説あらすじ

宮本村で生まれた宮本武蔵は一旗上げようと、関が原の戦いに参加するが、一旗挙げるどころか命からがら逃げ帰るのだ。

乱暴な性格も災いして、故郷の宮本村に久しぶりに帰ると、村人に追い立てられる。そこで、キーパーソンである沢庵和尚に身を預け、ある一室で3年間本を読んで過ごす。3年後出てきた宮本武蔵は人が変わったようで、剣の道で己を高めようと、武者修行の旅に出るというお話である。だいたい。

 

宮本武蔵がアレほどまで優れた武士となったきっかけはなんといっても沢庵である。沢庵も禅などを通じて己を高めているので、手段は違えど、同士である。若いうちに道を定めるまで影響される人に出会えるのは幸運である。本もいいが、実際の人物に会うのは大きいだろう。

 

一方、お杉、という老婆が宮本村にいて、息子が武蔵と一緒に関が原に行って帰ってこないなどの理由から武蔵とヒロインのお通を恨んで悪評をばら撒きながら武蔵を探し、殺そうとするたびに出るのだ。これは行く先々で武蔵の命を狙ってくる人々を動かしたといっても過言ではない。恨みでもここまで行動力を起こせる人はそうそういないのではないか。

 

お杉は何回か武蔵に会い、殺害を試みるが、小さい老人と名のある剣豪とでは勝負にならず、毎回組み伏せられる。そのたびに武蔵はお杉の誤解を解こうとするも、最後まで武蔵の説得には応じなかった。なぜあそこまで恨むのか。息子が殺されたならともかく、途中で生きている息子と再会するし。あそこまで付けねらわれて、何度も命の危機を迎えながらも、殺そうとしない武蔵。読みながら何度殺せと思ったことか。最終的には、お杉はヒロインのお通を半殺しにして我に返ったのだ。あの豹変振りは3年蔵に入って出てきた武蔵を連想させる。

 

宮本武蔵といえば、巌流島の戦い。戦いの相手は、ご存知、佐々木小次郎である。

佐々木小次郎の登場は決闘から数年前、8年ぐらい前、小猿を連れて船に乗っていた。小猿はそのあとどっかに逃げてしまう。なんだったんだ小猿は。佐々木小次郎はその後お杉と知り合い、武蔵が殺すべき敵だと刷り込まれる。そこからお杉と離れるが、宮本武蔵の良い評判が広まり、小次郎は良い気分ではなかった。そんで、街中からどこからともなく武蔵と小次郎が試合するようだという噂が流れ、実際に日取りまで定まり、あの戦いが行われたのだった。

 

小次郎は初めから強かったのだ。武蔵も強かったけど。日々の修行描写はなかったが、ずっとサボってたけど強かったという訳ではないかと思うので、日々鍛錬していただろう。しかし、武蔵は画を描き始めたり、農耕で村を豊かにしたり色々なことに手を出して、精神の修練を図っていた。ただ、剣が強いだけではなく、精神を高めるための修行も積んでいた。そのため、武蔵の言動の一つをとっても裏づけがあってのものだと思わせられた。一方、小次郎は年長者の意見だからとお杉の言葉を信じ込み、その後武蔵と敵対意識を燃やしていたところからすると、軽く思えてしまう。

 

物語中多く試合が行われるが、負けると死ぬか、腕の1本や2本持っていかれたりしていた。粉砕骨折でもしてしまうと、もう元には戻れないだろう。死と隣り合わせの試合にも、精神の成長を見込んでいただろうし、むしろ、そのような駆け引きが出来るからこそ剣の道に進んだのではないかと思う。小次郎との戦いの後に、小次郎のような相手と今後、出会えるかどうか、と武蔵は思っていた。